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古参研修(平成30年6月19~21日)

2018年6月19日

六月十九日~二十一日までの三日間、古参和尚九名を、土井蔵司、菱川侍真補の二名の役寮が引率し古参研修に行って参りました。
大本山永平寺では仮入堂をさせて頂き、坐禅、行鉢を本山の修行僧と共に僧堂の内堂で行じることが出来ました。また、永平寺の日常のお勤めや、廻廊清掃にも参加させて頂き、如常(いつも通り)の永平寺を体験することが出来ました。
その後は、曹洞宗ゆかりの永光寺、総持寺祖院を参拝し、鈴木大拙館(鈴木大拙は日本の禅文化を海外に広く知らしめた仏教学者)や兼六園を拝観し帰路に就きました。
参加者の中から一名の感想文を掲載致します。

和を尊ぶ~古参研修を終えて~ 森脇浩学

私は、三回目となる大本山永平寺の研修を終えて、感動と充実感を得ることが出来ました。それは、初めて永平寺僧堂内堂において、坐禅及び行鉢(食事)を行じたこと、更に、これまで体調不良で出来なかった回廊清掃を皆様と一緒に最後まで出来たことです。
坐禅、応量器行鉢、回廊清掃等いずれも一人ではなかなか出来ません。出来ないこともないでしょうが、私ならば途中で挫折したり、投げ出したりすかもしれません。修行僧の皆様と一緒に行じるからこそ最後まで出来ると思います。
酒井得元先生の著述の「坐禅の真実」の中にある、「化物も寄り付けない。皆んな一緒に修行してるから。叢林が一番大切、昼夜を共にする、日常生活を共にする。皆んな一緒に起きて、一緒に坐禅をする、一緒に作業する、これが宗門の命脈です。」とのお示しは、私の身心に染み入る御提唱です。
私は、この御提唱を大本山永平寺研修で再確認致しました。
翌日、金沢市の兼六園を見学し、私が印象深かったものは、同園の東端に位置する明治紀念之標です。地元ガイドさんは、同紀念之標について「西南の役で戦死した郷土軍人の御霊が祀られ、セメント等を使わず石の重さだけで組み合わされており、これまでの地震等で一度も倒壊していない。使われている石には、大蛇、ナメクジ、ガマの形をした自然石があり、互いに睨みあうように組まれている。」旨説明されました。この瞬時、私は、僧堂もこうあるべきではないかと感じました。

 
色々な性格、性質を持った修行僧が一如になって、強力に和合しながら道心を持って精進辦道すれば、明治紀念之標のように、どんな自然災害にも耐え、どんな障害をも乗り越え、崩れることなく、乱れることなく修行に打ち込めると思います。
私は、今度の大本山永平寺での研修及び金沢市兼六園の明治紀念之標の見学から、和を尊ぶことを学び、今後の修行における道標を確信致しました。